朝起きても疲れが抜けない、
休んでも体が重い——。
そんな“慢性疲労”を感じている人が増えています。
原因は、働きすぎや睡眠不足だけではありません。
東洋医学では、「気(エネルギー)の滞り」や「血の不足」、
「自律神経のアンバランス」が重なって、疲れが取れにくくなると考えます。
そこで今回は、鍼灸の理論をベースに、
体を根本からリセットするための“疲労回復ツボ10選”を紹介します。
鍼やお灸を受ける前に、自宅でセルフケアとして押したり温めたりできる方法も交えて解説します。
1. 東洋医学でみる「疲れ」の正体
西洋医学では、疲労は「筋肉の疲れ」「エネルギー消費」などで説明されますが、
東洋医学では、もう少し複雑です。
体内には「気・血・水(き・けつ・すい)」が流れており、
この循環が乱れることで疲労が生じると考えます。
| 不調タイプ | 原因 | 主な症状 |
| 気虚(ききょ) | エネルギー不足 | だるさ、息切れ、食後の眠気 |
| 血虚(けっきょ) | 血の不足 | めまい、集中力低下、顔色の悪さ |
| 気滞(きたい) | ストレスで気が滞る | 肩こり、頭痛、ため息が多い |
| 痰湿(たんしつ) | 水分代謝の低下 | 重だるさ、むくみ、頭がぼんやり |
このように、疲れ方にも“個性”があります。
だからこそ、鍼灸では「その人に合ったツボ」を使い、
内側から体をリセットしていくのです。
2. 疲労回復に効く!基本のツボ10選
ここからは、疲れを感じたときに役立つ代表的なツボを紹介します。
ツボは左右どちらを押しても構いません。
1日1〜2回、軽く3〜5秒押すのが目安です。
① 足三里(あしさんり)
場所: ひざ下の外側、スネの骨から指3本分ほど下。
効果: 全身の疲れ・消化不良・免疫低下。
古くから「長生きのツボ」と呼ばれ、気血を補って全身を元気にします。
疲労回復の定番中の定番。
② 三陰交(さんいんこう)
場所: 内くるぶしの上、指4本分。骨の際。
効果: 冷え、PMS、倦怠感。
血流を改善し、体の“内側の温かさ”を取り戻すツボ。
お灸や温タオルで温めるのがおすすめです。
③ 合谷(ごうこく)
場所: 手の甲の、親指と人差し指の骨が交わるところ。
効果: 頭痛、目の疲れ、肩こり。
「万能のツボ」と呼ばれ、上半身の気の巡りを良くします。
デスクワークで目や肩が疲れたときに最適。
④ 百会(ひゃくえ)
場所: 頭のてっぺん、両耳を結んだ線の真ん中。
効果: 自律神経のバランス、頭重感、不眠。
精神的な疲れや思考過多に。
軽く押したり、指で円を描くように刺激します。
⑤ 内関(ないかん)
場所: 手首の内側のしわから指3本分下。
効果: 胸のつかえ、ストレス、乗り物酔い。
気の流れを整え、ストレス性の胃痛や息苦しさを緩和します。
⑥ 肝兪(かんゆ)
場所: 背中の、肩甲骨の下端あたりの背骨から指2本分外側。
効果: イライラ、目の疲れ、情緒不安。
ストレスで疲れが抜けない人に効果的。
軽く押したり、温めるのがおすすめ。
⑦ 腎兪(じんゆ)
場所: 腰の中央、へその真裏から指2本分外側。
効果: 慢性疲労、冷え、腰痛。
生命エネルギーを蓄える“腎”を整えるツボ。
慢性的な疲労回復の要となるポイントです。
⑧ 太谿(たいけい)
場所: 内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみ。
効果: 冷え、足のむくみ、倦怠感。
腎を補い、体の根本的な活力を支えます。
足元を温めることで全身の代謝も上がります。
⑨ 風池(ふうち)
場所: 首の後ろ、髪の生え際のくぼみ。
効果: 頭痛、眼精疲労、肩こり。
気の巡りを促し、首・肩の重だるさを解消。
パソコン疲れやストレス性の頭痛に最適です。
⑩ 労宮(ろうきゅう)
場所: 手のひらの中央、軽く握ったとき中指と薬指の先が当たる場所。
効果: 緊張、不眠、精神疲労。
手のひらを温めると、副交感神経が優位に。
“心の疲れ”を癒すツボです。
3. 1日の流れで整える「疲労リセット習慣」
ツボ刺激は、生活リズムと組み合わせることで効果が高まります。
以下のような「1日の流れ」を意識してみましょう。
● 朝:体を起こすツボ(足三里・太谿)
寝起きに軽く押して、体内エネルギーを起動。
深呼吸しながら刺激することで、血流と代謝がスムーズに動き出します。
● 昼:集中を高めるツボ(合谷・風池)
午後のだるさや集中力低下を感じたら、
こめかみや首の付け根を軽くほぐすように刺激。
肩の力が抜けて、頭がすっきりします。
● 夜:リラックスツボ(内関・労宮・三陰交)
就寝前は、手首や足首のツボを中心に温めましょう。
副交感神経が優位になり、深い睡眠へと導きます。
4. お灸を使った「深い回復ケア」
慢性的な疲れが抜けない人には、お灸が効果的です。
温熱刺激が自律神経を安定させ、血流を改善します。
● お灸のポイント
- 1回5〜10分、熱くなる前に取り除く
- 食後や入浴直後は避ける
- 週に2〜3回が目安
おすすめの場所は「足三里」「三陰交」「太谿」「腎兪」。
これらは全身の巡りと代謝を底上げする“回復ツボ”です。
5. ツボ刺激の効果を高める生活習慣
ツボ押しだけでなく、生活全体で「整える習慣」を意識すると回復力が倍増します。
● 睡眠を一定リズムに保つ
毎日同じ時間に寝起きすることで、自律神経が安定します。
● 食事は「腹八分目+温かいもの」
冷たい飲み物や食事は“気”を冷やします。
温かいスープや発酵食品で内側から温めましょう。
● ストレスを“流す”時間をつくる
軽いストレッチや入浴、深呼吸もツボ刺激の延長。
体の滞りを流す時間を意識的に持つことが大切です。
6. 鍼灸院での施術とセルフケアの違い
セルフケアのツボ刺激は“日常のメンテナンス”。
一方、鍼灸院では“深層の修復”を目的とします。
鍼灸師は、脈や舌の状態、体の触診から「どの経絡が滞っているか」を見極め、
ツボを組み合わせて施術を行います。
自分でケアしても疲れが抜けない場合は、
体質的な「気虚」や「血虚」が関係していることもあるため、
専門家に相談するのがおすすめです。
7. 鍼灸で得られる「本当の疲労回復」
鍼灸による疲労回復は、単に“筋肉のこりを取る”のではなく、
エネルギー循環そのものを整えるという点にあります。
- 鍼で経絡を刺激し、滞りを解消
- 灸で温め、巡りを促進
- 自律神経を安定させ、体内リズムを回復
これらの効果が重なり、体が“自然に回復できる状態”へと導かれます。
8. まとめ
鍼灸で疲労をリセットするポイントは、
「全身のバランスを整える」こと。
- 足三里・三陰交:体の基盤を整える
- 合谷・内関:ストレスを和らげる
- 百会・労宮:心と脳の疲れをリセット
これらを上手に組み合わせれば、
1日5分のツボ刺激でも、確実に体は変わっていきます。
終わりに
疲労は、頑張っている証でもあります。
しかし、そのままにしておくと“慢性化”し、体も心も重くなります。
皆さんも、ツボ刺激を生活に取り入れて、
日々の疲れをその日のうちにリセットする習慣をつくってみてください。
「整うこと」は、特別なことではなく、
日常の中で少しずつ積み重ねるものです。